循環器内科とは
循環器とは、心臓から血液が送り出されて体じゅうを巡る、その経路のことを言います。循環器内科では、主に虚血性心疾患、弁膜症、不整脈、心不全などの心臓や血管の病気を診ます。
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
狭心症は、心臓の筋肉(心筋)に酸素と栄養を供給している冠動脈の血流が不足することによって心筋が酸素不足に陥る病気で、主に動脈硬化のために冠動脈の血管が狭くなることにより発症します。
さらに冠動脈が閉塞して心筋が壊死してしまった状態を心筋梗塞といい、命にかかわる危険な状態となります。
狭心症は通常「労作性狭心症」と言って労作時(体を動かしたとき)、つまり急ぎ足で歩いたり、階段や坂道を登ったりしたときなどに起こり、胸の中央部辺りが締めつけられる、あるいは何かを押しつけられているような圧迫感を感じ、少し休むと治まってしまうのが特徴です。
痛みはしばしば左肩・腕や顎まで広がり、みぞおちに胃の痛みのようなものが感じられたり、息切れとして自覚されたりすることもあります。
一方、「異形狭心症」と言って、同じような症状が労作と関係なく出ることがあります。これは「冠攣縮(かんれんしゅく)」、つまり冠動脈が痙攣したように収縮してしまい、動脈硬化で細くなったときと同様の狭窄が一時的に作り出されるために起きる現象です。
弁膜症
心臓は拡張と収縮を繰り返すことで体中に血液を循環させるポンプのような役割をしています。この血液の流れを一方向に維持し、逆流を防止するために心臓の中には4つの「弁」があります。弁がうまく開かなくなるものを「狭窄症」、うまく閉じなくなるものを「閉鎖不全症」と言います。心臓の雑音や息切れなどで気づかれることが多く、軽症の場合には経過観察で良い場合も多いのですが、重症になると手術が必要となります。従来の外科手術の他に、近年では体への負担が少ないカテーテル手術も登場してきており、その判断には心エコーが大きな役割を果たします。院長は岐阜ハートセンターで心エコー室の責任者として多くの弁膜症患者さんの診断や治療にあたってきました。また、現在も同センター非常勤医師として弁膜症カテーテル手術の際には経食道心エコーを担当しています。
不整脈
不整脈とは、脈がゆっくり打つ、速く打つ、または不規則に打つ状態を指します。
心臓は1日に約10万回も拍動しており、不整脈には治療の必要のないものも多いのですが、心筋梗塞や心不全、先天性心疾患などの心臓病に起因しておこっているものもあります。
また不整脈は常に自覚症状があるわけではなく、本人がそれとは気づかない場合も少なくありません。そのまま放置すると失神の原因となったり、心房細動のように脳梗塞の原因となる場合もありますので、健康診断などで不整脈を指摘された場合には、自覚症状がなくても循環器内科への受診をお勧めします。
心不全
高血圧、不整脈、弁膜症、心筋症、心筋梗塞など、あらゆる心臓病は心不全を引き起こす危険性があります。心不全の代表的な症状は息切れやむくみで、これらの症状は心臓の機能が低下することにより、血液循環が悪くなったり肺や足に水分がたまることで出現します。
心不全になって入院するとお薬や手術などの治療によって症状は良くなりますが、それは心不全が「治った」わけではありません。ひとたび心不全で入院すると、多くの方がまた心不全が悪くなって再入院し、増悪を繰り返すたびに心臓の力も体力も低下するため生命を縮めていきます。
そのため心不全の患者さんは、再入院をしなくてすむよう状態に合わせて常にお薬の調節が必要です。院長は岐阜ハートセンターで心不全診療部長として多くの心不全患者さんの治療にあたってきました。